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この度監事を仰せつかりましたバイエルホールディング株式会社の齋藤です。現在はパブリック&ガバメントアフェアーズ部門に所属しており、主に欧州製薬団体連合会という欧州系の研究開発に基盤を置く製薬企業の団体の事務局長をしております。
現在、薬価制度については抜本的な見直しが行われている最中であり、事務局長としては、大変ですが、改革議論の一端を担えることは大変幸運なことでもあると感じています。特に研究開発型の製薬企業にとっては、いわゆる新薬創出加算(新薬の薬価を維持する制度)の継続は、今後とも日本への投資の優先順位を上げ、日本の患者さんにいち早く革新的な薬剤をお届けするためには不可欠の制度と考え活動しております。
現在の制度改革から離れより大きな視点で見ると、今の時代は薬価の在り方が従来の方式からより個々の薬剤の価値に基づく評価に移行する、その初めの時代ととらえています。現在、類似薬効比較方式という同じような薬との一日薬価を合わせるといった方式、原価計算方式という薬の製造原価を積み重ねて薬価を決定する方式があります。政府はこの方式の中で対応してきましたが、オールマイティではなく様々な問題が生じる、その結果を端的に示すのがオプジーボを代表とする高額薬剤の問題であったと思います。
ところが、価値に基づく評価に移行するといっても一筋縄ではいきません。価値を判断する効果をどのように測定するのか(HTA)、そのデータをどのように収集するのか(ビッグデータ)といったことから、それをどのように薬価に反映させるのか、適応症ごとに価値が違う場合は薬価を変えるのか、そのために必要な制度をどう整備するのか問題が山積みです。
このような場合、民間サイドの政策立案能力の必要です。政府の方々も優秀な方が多いわけですが、全ての分野に適切な政策・制度を提案できるわけではありません。民間サイド、業界サイドが、政府の提案に反対あるいは修正意見を述べるだけでなく、早期の段階からかかわり実情に沿った形での政策案を形作っていくことが必要と考えま
す。社会保障制度の改革が多数のステークホルダーとの相補的な協力関係により日本の患者さんにとってより適切なものになっていくよう業界団体としての組織的に能力を高める必要性を感じる毎日です。
さて、その中で医療・薬業如水会はひとつの業界だけにとどまらない多くの関係者とネットワークができることに意義があると思います。この如水会のグループが時代の課題にこたえていくための、ネットワークの一つの核となることができるよう微力を尽くしてまいりたいと思います。
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監事 齋藤 直一
平成4年 社会学部卒業
バイエルホールディング株式会社
パブリック&ガバメントアフェアーズ部長
 
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