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年末雑感
今年、私は還暦を迎えて、永らく勤めた会社も今年6月末で退任しました。
いままで毎年、医療・薬業如水会の総会と年に一度の懇親会が終わるとまもなく12月を迎えて、
それからは師走特有の忙しい毎日が始まり、夜は夜で公私にわたる怒涛の忘年会ラッシュに突入し、
あっという間に正月休みになっていたような気がします。
それが今年は、例年になくのんびりとした年末の日々を過ごしています。
昨日は師走の総選挙で、安倍総理が率いる保守が予想とおり圧勝しましたが、
選挙速報を見ていても現役時代のように心騒ぐこともなく、ただ当選者の数の推移をぼんやりと見ているだけでした。
現役を退き、とりあえずリフレッシュ休暇だと開き直って早くも半年、これではいかんなと思いつつも、
忙しくしていようとぼんやりしていようと時間は同じ速さで流れていきます。多少、休暇にも飽きてきて、
また毎日無為に過ごすことに罪悪感のようなものを感じ始めたつい最近に、ある先輩に言われました。
まだしばらくは社会貢献を意識しながら仕事をしなさい。
そしてそれからも知的興味を持ってずっと勉強をしなさい、と。
一方で60歳をなって今、高校の同窓会も大学の同窓会も急に賑やかになってきたような気がします。
暇な時間が増えて、少し経済的なゆとりができたからといえばそれまでですが、それだけではないと思います。
卒業以来一度も同窓会に顔を出したことのなかった人が突然、会に顔を出したり、
またどこで調べたのかメールがある日飛び込んできたりもします。
会社を含めた組織から離れて肩書きもなくなると、自分を自分自身で確認する手段がなくなり、
同窓会そのものや昔からの友人たちの存在がアイデンティティの確認には手っ取り早い方法のひとつになるのかなと思います。
ということでここのところ、高校、大学時代の友人たちと、にわかに頻繁に旧交を温めています。
ところで医療・薬業如水会ですが、この会は特殊なすばらしさを持っている会であると改めて思います。
前会長として多分に我田引水的なところはあるかもしれませんが、
薬務研究会を内包している当会は医療や薬業に携わる同窓生の親睦会の域を超えて、
業界人としての知的興味を満足させる勉強の場を提供しうる会であるし、また、
一橋では比較的少数派である医療や薬業にかかわるわれわれの貴重な情報共有の組織、
そしてギルドのように先輩から後輩に何かを伝承していく機能を有する稀有な組織ではないかと秘かに自負しているところであります。
東日本大震災の年から3年間当会の会長を勤めさせていただき、支えていただいた理事、
幹事の皆様をはじめ会員諸氏のご協力に心から感謝し、
医療・薬業如水会のますますのご発展をお祈りして筆をおかせていただきます。
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名誉会長 河野 慎一
昭和60年 法学部卒業
 
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